個々の症状に対する治療の方針、心構え、症状成立の機転に関しては、森田正馬博士の他の著書にゆずり、ここは対人恐怖症に関することをやや詳しく述べることとする。 対人恐怖症の種類 1.赤面恐怖 人前で赤面すること、顔のほてる感・・・
「対人恐怖症の治療」の記事一覧
森田療法でみる神経質症の治療
従来の治療法は、本症が神経の衰弱に基づくものであるという考えから、神経系統の安静と快復をはかるという意味で、休養、鎮静剤、強壮剤等が用いられたのである。 かかる療法がほとんど効果をあげ得なかったのは、本症の成因から見ても・・・
森田療法でみる症状固着の理由
1.ヒポコンドリー性基調 同じような体験があって不快感があっても、ある人はその時だけのことで後に残らないが、ある人は神経質症状としていつまでも悩みの種子になるのはなぜであろうか。 森田正馬教授は神経質症状発生の基礎はヒポ・・・
森田療法でみる神経質症状
神経質症状は人によってさまざまであり、なかには一人で数種の症状を持つものもあり、またある時は対人恐怖症、ある時は不眠症とか同一人で症状が移り変わることもある。 症状の形は種々あるが根本は同じようなもので、治療の原因も共通・・・
森田療法でみる神経質症状と対人恐怖症
神経衰弱という言葉ほど濫用されている学術語は少ない。 この点では一般の人々も非専門医も五十歩百歩である。 神経衰弱が昂じて精神病になったとかいわれているが、神経衰弱は精神病とははじめから別のもので、神経衰弱はいくら昂じて・・・
森田療法による対人恐怖症の治療8
視線恐怖の例 ニ十九歳女。 これも対人恐怖症の一種であるが、対人恐怖症患者は、五歳の子の母で、かつて女学校の音楽教師を勤めたことがある。 対人恐怖症患者の訴えるところによれば、対人恐怖症患者は幼児期から小心で、学校でも、・・・
森田療法による対人恐怖症の治療7
発声恐怖の例 ニ十三歳男。 これも対人恐怖症の一種であるが、生来、恐怖心が強く、忿怒しやすい方である。 中学二年の頃、声変わりの時、自分のキイキイという声がきまり悪いと思うことから、人前を恐れるようになった。 学校で、読・・・
森田療法による対人恐怖症の治療6
振戦恐怖の例 三十二歳、医師。 振戦恐怖の患者。 幼児期から虚弱で、小胆臆病であった。 十三歳、中耳炎にかかり、十七歳とニ十四歳とに二回、上顎とう蓄膿症を手術したことがある。 その他チフス、マラリア等に罹ったこともある。・・・