”対人恐怖症はどういう種類があるのか”
●対人恐怖症とは
対人恐怖症は、数ある神経症類型のひとつである。
が、一口に対人恐怖症といっても、その内容は多種多様で、(対人恐怖症の例・参照)
U男さん、N子さん、S子さんの悩みは、それぞれ異なっている。
ここでその内容を知るために、山本巖夫氏が自分の臨床例に関して命名した内容を次にあげておこう。
強い人見知り、
強度の含羞、
対人緊張、
顔面強張、
全身強張、
対面恐怖、
会話恐怖、
正視恐怖、
発汗恐怖、
赤面恐怖、
吃音恐怖、
発生困難(恐怖)、
震声恐怖、
書痙、
表情恐怖、
醜貌恐怖、
醜形恐怖、
視線恐怖、
放屁恐怖、
自己臭恐怖、
自己視線恐怖、
自己反映恐怖、
対人影響恐怖、
独語恐怖、
寝言恐怖、
被害念慮、
関係念慮、
その他に会食恐怖(外食恐怖)や排尿困難恐怖も、一般に対人恐怖症の中に含められている。
その他に当事者の経験した事例をあげると、
震身恐怖、
蒼面恐怖、
勃起不全恐怖、
唾液嚥下恐怖、
腹鳴恐怖、
色目恐怖、
脇見恐怖、
などといったものもある。
山本流命名法に従うと
(対人恐怖症の例・参照)
U男さんは「話しかけても誰も喜んで聞いてくれないような気がする」と悩んでいるので、会話恐怖ということになる。
また、そのために「何かそっけない態度で近寄りがたく」なって、いつも人中で不安・緊張感をいだき、人と対面しにくくなっているようであり、対人緊張・対面恐怖と名づけることもできる。
N子さんは、「顔や体がこわばって、なにかギクシャクして」悩んでいる。そのために対人的に緊張しているので対人緊張といってもいいが、悩みの中心は、同じ流儀で分類すると顔面強張、全身強張、表情恐怖に相当する。
「歩き方や動作までおかしくなることもある」と悩んでいるので、身振り・動作恐怖と山本流とは別の命名をしてもいい。
S子さんの症状は端的に脇見恐怖と名付けていいであろう。
が、視線、なかでも自分の視線を怖れているので、同じ流儀でいえば、視線恐怖・自己視線恐怖にふくまれ、また「隣の人にたいへん迷惑をかけていたわけです」といっていることから、対人影響恐怖も認められる。
※参考文献:対人恐怖 内沼幸雄著