赤面恐怖とは、人前で自分の顔の赤くなるのを苦にするもので、つまり「自分は、気が小さくて、恥かしがり屋である。

こんなことでは、一人前の立派な人間になることができない」と悲観し、苦悩するものである。

赤面恐怖は、強迫観念の一種である。

強迫観念は、神経質の一種であって、いわゆる神経衰弱症と同種に属する症状である。

ゆえに森田正馬の神経質療法と同様の治療法によって、治すことのできるものである。

神経質の病理に対しては、森田療法ではヒポコンドリー性基調節と精神交互作用説というものを立てて、これを説明した。

これに対する理解は、拙著『神経質の本態及療法』の参照を願うことにして、通俗に一口にいえば、神経質は、自己内省的でものを気にするという性格の人が、ある動機から、誰にもありがちな感覚、気分、感想を病的異常と考え過ごし、これに執着、苦悩するようになったもので、言い換えれば、実は病気でも何でもないものを、われとわが心から次第次第に病気に組み立て、こね上げたものである。

昔から俗にいう「気やまい」である。

患者本人が自らこれを立派な病であると信じるし、医学者も、これをニューロンとか新陳代謝機能から起こるとかの異常か病と考え、昔、アメリカのベアードが神経衰弱症という病名をつけて以来、特にこれを一定の病と考えるようになったのである。

※参考文献:対人恐怖の治し方 森田正馬著