●自分を拒否する人にはかかわらない

”他人の好意を実感する”

小さい頃から要求がましい親に育てられると、成長してから親以外の人に会っても何か支配されているように感じてしまうのである。

対人恐怖症の人は誰も自分のことなど何とも思ってはいない、何も支配しようとはしていない、決して批判的な眼などでみてはいない、そう何度も自分にいいきかせることである。

小さい頃から親の無言の重圧に委縮してしまった対人恐怖症の人は、何も圧力をかけようなどとしていない人からも無言の圧力を感じてしまう。

これを治療するのにもっともよいのは、他人の好意を実感することである。
親と違って他人はこんなにも自分のことを好意的に解釈してくれるのか、親と違って他人はこんなにも温かい気持ちで接してくれるのか、そういうことを実感することである。

対人恐怖症の人は、何もしないでいればすぐ、怠けているとか、体が弱くてやくにたたないとか、気力がないとか、俺がこんなに苦労しているのに知らん顔をしているとか、親はいつも批判的な眼で見ていやみをいったり、失望をあらわにしてため息をついたりした。
すると、おとなになってからも、疲れて何もしないで休んでいると、どうしてもたにんから批判的に見られていると感じてしまう。
しかし、他人はあなたに対して逆に、疲れていて気の毒に、と思っているかもしれない。

対人恐怖症の人はそのような他人の好意に、くりかえし接していくことがもっとも大切なことである。

※参考文献:気が軽くなる生き方 加藤諦三著