身体的反応がさらなる不安の材料になる

対人恐怖症は、ある特定の場面で不安や恐怖を感じてしまう、心理的な症状です。

しかし実際には、体にさまざまな反応が表れます。

顔が赤くなる、汗をかく、手が震えるなどです。

これらは、赤面恐怖、発汗恐怖、振戦恐怖などと呼ばれますが、電話恐怖の人が緊張から紅潮する場合もありますし、赤面恐怖の人がめまいや動悸に襲われる場合もあります。

身体的症状は、どの恐怖症にも表れるものなのです。

そして「またあの症状が出たらどうしよう」と、身体的症状を過剰に意識することでさらに不安が強まり、ますます緊張を高めてしまいます。

これが、緊張する→症状が出る→さらに緊張する、という悪循環を生み出します。

なかには、身体的症状が新たな不安材料になり、別の恐怖を引き起こすケースもあります。

スピーチ恐怖の人が、人前で頭が真っ白になり、「どうしよう、言葉が出ない」と焦って大量の汗をかいてしまったことで、スピーチ恐怖に発汗恐怖が合併した状態になってしまうなどです。

ひとつの不安がさらなる不安を呼び、行動がどんどんと制限されてしまい、自分自身を苦しめてしまうわけです。

よく起こる身体的症状

・発汗

・手足の震え

・赤面

・動悸

・青ざめる

・筋肉のこわばり

・声が出ない

・声が震える

・口の渇き

・尿が近い・出ない

・息苦しい

・頭の中が真っ白になる

・めまい

・吐き気

などです。

※参考文献:あがり症のあなたは<社交不安障害>という病気。でも治せます! 渡部芳徳著