短大卒業後、事務用品メーカーで働いている飯島さん(仮名)は、明るい性格で仕事にも前向き。

電話が鳴れば2回コール以内にとることを心がけ、取引先の評判も上々です。

ある日、先輩に渡した取引先から受けた電話の内容を書いたメモの内容が間違っているというミスを犯してしまいます。

特に大きな問題にはならなかったのですが、仕事に自信を持っていた飯島さんは落ち込んでしまいます。

それ以来、電話の内容を正確に聞き取ることができたか、正しく伝わるようにメモが書けたかなど、ひとつひとつが心配になってしまいました。

そのうち、自分はきちんと電話対応ができているのか、周りの人は私の電話を聞いてどう思っているのかなどが気になるようになり、だんだん電話に出ることが怖くなってしまいました。

人との会話ができないというわけではなく、相手が見えない電話での会話が怖いという症状です。

そのため、人と対面しての会話では問題がない場合がほとんどです。

症状としては、口がもつれてしまったり、声が震えてしまうことで、相手が不快な思いをしているのではないか、変な人だと思っているのではないかと不安になったり、周りに人がいる状態で電話対応を失敗して恥をかいてしまうのではないか、電話も満足にできない社員と思われてしまうのではないかと心配になるなどです。

その結果、電話が鳴るだけで緊張して心臓がバクバクしてしまい、受話器をとろうとしている手も震え、だんだんと電話に出ることが恐怖となってきます。

ひどくなると、出勤することさえできなくなってしまうこともあります。

発症のきっかけは、電話での失敗体験や通話相手に凄まれたことによる恐怖体験などさまざま。

電話をとる機会の多い、会社勤めの若い女性に多い症状です。

ちなみに、このタイプの人が病院を受診する時はほとんどインターネットの予約システムを利用します。

「電話での予約のみだったら、来院できなかった。インターネットで予約出来てありがたかった」という人が大勢います。

※参考文献:あがり症のあなたは<社交不安障害>という病気。でも治せます! 渡部芳徳著