重症の対人恐怖症(視線恐怖)患者の日記全体については、細字にて、記述詳細にわたり、毎日の仕事のこと、自己内省のこと、私の講和の条項、要領など、漏らさずに書いてある。

重症の対人恐怖症(視線恐怖)患者の症状のことでは、警句のことは、はじめから、これを書きつけるようなことはなかったようである。

重症の対人恐怖症(視線恐怖)克服日記のうちには、ただ、起床第四日に「警句が出て困る」ということがあるのみ。

「頭がフラフラする」ということは第一、二日だけ。

「人をにらむこと」、「声がふるえる」ということは、第一、二、三、四、七、八日と、再入院二、三日だけである。

「人に噂される、笑われる、人が自分を避ける」ということは、第二、三、四日の後には、日記中に現れない。

「夢が多い、悪夢に襲われる」ということは、第四、五日、再入院第二、三、四、八、九、十日で終わり、その後には記載がない。

第十一日には、安眠ということがある。

「耳鳴」のことは、第七日に記されたのみ。

「不安、心配」ということが、第五日と、再入院第三日とにあり、「不快感」が、第六日にある。

その他、再入院第四日には「圧迫を感ずる」、第六日には「落ち着かない」、第七日には「汗が出る」とかいう症状を記載してあるだけで、その後の日記には、症状に関することは、ほとんど見当たらない。