神経症類型のすべてにおいて、その原因が対人関係の問題に帰着するかどうかについては疑問の余地があるが、少なくともその多くの場合に対人関係がかなり大きな役割を演じていることは、いまではほとんどの研究者の一致した見解となっている。
なかでもその問題が症状に端的に示されているのが、対人恐怖症である。
一般に症状の基盤には、症状を支えるそれ相応の対人関係の特徴的構造が認められるが、多くの神経症類型では幼児期以来の長い生活史における複雑な人間関係のからみあいが背景に深く潜在していて、その力動構造をとらえるのは容易ではないのに対して、対人恐怖症では、症状そのものに対人関係の問題構造が直接的に反映されているのが特徴である。
※参考文献:対人恐怖の心理 内沼幸雄著