”本気で真剣に生きる”

「私は神経質なので悩んでいます。とくに人前で恥をかいた時など、自分が情けなくなり、ニ、三日くよくよと考え込んでしまいます。」
こんな悩みを持った人は多い。
でもこの悩みの主はじぶんのことしか考えていないのではなかろうか。
その場にいあわせた人たちへのやさしい気持ちが伝わってこない。

このような対人恐怖症の人は自分が恥をかいたということばかりに気をとられていて、その場にいた人達のことを少しも考えていないのではないだろうか。

人前で恥をかくことを恐れている対人恐怖症の人は、その場にいる人の幸せを願っているだろうか。
自分が他人にどう映るかということを気にする対人恐怖症の人は、あまえているうえに心が冷たい。
概して甘えている人は心の冷たい人である。

対人恐怖症、対人緊張の人はたとえ相手が不幸であっても自分さえよく思われればよい、しかしありのままに生きている人は、相手が幸福であれば自分がどう思われようとかまわない。

私は、本気で真剣に生き始めれば、対人恐怖症や対人緊張など治ってしまうのではないかと思う。

対人恐怖症の人は他人が自分を思っているより低く評価すると、それを必死になって訂正しようとする。
対人恐怖症の人は他人からこう見てほしいという自己像と、他人が実際こう見ているだろうと自分が感じた自己像とがくいちがうと、なんとか訂正しようと努力する。
しかし、そうした努力は実際には虚しい。
なぜなら、対人恐怖症の人は自分の成功は自分にとっては重要だけれど、他人にとってはそれほど重要なことではない、という単純なことに気が付いていないからである。

自分の会社が業界でどういう位置にあり、その業界を世間の人がどお¥のように見、そしてその会社の中で自分がどう評価されているか、そんなことは他人にとってはさほど重要なことではない。
それなのに、対人恐怖症の人はそのわずかな評価のくいちがいを訂正しようと努力し、自分が思っているより低い評価をされるとおおきな心理的損傷をおう。

対人恐怖症の人が心理的損傷をおうのは、他人の評価のうえに自分の人生を築こうとするからである。

あなたは砂の上に高層ビルを建てようとしてはいないか。

もう一度足元をしっかり見直してみることである。

※参考文献:気が軽くなる生き方 加藤諦三著